新木雄貴プロによるCB-1007の試打レポート
マッスルバックからキャビティバックへ
2006年より、まだ研修生としてプロとしての道を目指していた時より、三浦技研さんと知り合うこととなり、miuraism SB-01モデルを自分専用に研磨していただき、使用していました。SB-01のマッスルバック独特の打感と小振りなヘッドならではの操作性能に魅了され、実際にこのモデルでプロテストにも合格出来ました。非常に思い入れのある、信頼できる相棒です。
昨年、一昨年のQTは共にサードで悔しい思いをしてきました。
昨年のQTの結果報告を試合後すぐに三浦信栄社長に伝えようと思い、連絡をさせていただいたところ、いろいろな励ましの言葉を頂き感謝する気持ちと、期待に応えられなかった悔しさとが一度に込み上げた事を今でもよく憶えています。その際に、社長より「来年の相棒を作り変えよう」という言葉をいただきました。
正直、シビアな状況で出てしまうミスに悩んでいる部分と今の道具を信頼している部分、つまり何かを変えたいと思う気持ちと変えたくない気持ちの両方が混ざり合っていました。
そのような気持ちで三浦技研を訪ねたところ、そこで来期モデルとして見せていただいたのは、今まで使う事を考えた事も無かったキャビティモデルで、正直驚きでした。
相棒を変えることへの迷い
このモデルを見せていただきながら三浦社長からいろいろ質問を受けました。
どこまでの集中力で一打、一打を打っているのかということや、ミスに対する自分自身が納得できる許容の度合いと実質的な起こり得るミス、球を操る技術とその範囲。後は、厚みからくる打感に対してどのようなイメージやこだわりを持っているかなどです。
いろいろな話を聞かせていただき、新しいモデルに向かうことに対し、自分の気持ちを整理したいと思いました。
正直、キャビティバックになると球が高くなる分、風に左右されてしまうのではないか、インパクトポジションにより距離感のバラつきがでてしまうのではないのか、弱々しい球質になってしまうのではないのか、というようないろいろな不安的要素ばかりが頭の中が巡りました。
不安が確信へと
何かを変えてみる事で自分の知らないよい部分を発見出来るのではないのかと思い、とりあえず頭の中をニュートラルな状態にし、打ってみる事にしました。
試打したのはオリジナルのプロトタイプでしたが、正直一番驚いた事は球が高く上がっても、球がまったくブレない。相当な驚きでした。
想像以上に球が強い。弱々しい感じは一切しませんでした。
確かに、使っていたSB-01とは打感という部分では若干異なる感触ですが、それも嫌な感じで伝わってくる柔らかさとかの質ではありませんでしたし、自分が想像していた薄い感じや弱い感じでは一切無く、相当しっかりしていました。
全体の大きさは今まで使っているSB-01は小さすぎるくらい小さいヘッドだったので、少し大きさが邪魔になるのではと構えた時に思ったのを覚えています。しかし、実際振ってみるとヘッドの大きさから来るシャフトの動きに影響もなく、ヘッドの動き、操作感もスムーズでした。
どこまで左右に曲げれるのか?高低の打ち分けは?どこまで上げたら影響出る?
気が付けば一心に球を打って、新しいモデルへのテストではなく、本気モードでどんどん打っていた事を覚えています。同行していただいた社長に、「完全に本気の練習モードやないか!テストにならんぞ 」と。そして「来年、これで勝負してみるか? 形のことは専務にとことん付いて、気に入るように削ってもらったらいい。見てたら既に道具と一体化出来てる!」と、嬉しいお言葉をいただき、新しく作っていただく決心をしました。
新しいモデルが出来上がるまでの間、テストクラブを借り、コースで何球も何球も打った感触を確認しました。ソールの抜けもSB-01より大きなヘッドながら悪くない。少し打ち込みが過ぎたショットでも、当たり負けが感じられない。
そして芯を外した時の許容範囲はマッスルバックモデルとは全く別次元で、ストレス感から解放された様なイメージがありました。
どんどんCB-1007に魅了されていくのが自分でもわかりました。
CB-1007が実証したポテンシャル
専務に削っていただいたクラブを手にした時には、安心感すら感じました。試合を一緒に戦う頼れる相棒として仕上げていただきました。
十分に打ち込みを行い、成果を問うべく今年3/12に行われたJOYX CUPに出場したのですが、その試合でいきなり結果が出てしまいました。
調子も悪くなく、タイスコアのため優勝をかけたプレーオフとなったのですが、3H 目にやっと決着しました。セカンドショット残り210y。ラフに完全にボールが沈んだ状態で、フライヤーの計算をしつつ、グリーン手前でOKの意識でショットしました。5 Ironで打ったのですが、結果は計算通りでした。しっかりと振り抜け、思った高さと、思った距離感、イメージと実際の抜け感がしっかり合った瞬間でもあり、勝利を呼び寄せた瞬間でもありました。本当に嬉しかったです。
続いて、4月に行われた第3回TGC CHAMPIONSHIP PROAMAでも優勝する事が出来き、CB-1007に変えてすぐに2勝目を挙げる事が出来ました。この時も同じくして、プレーオフでの決着となりました。印象に深く残っているのですが、セカンドショットの状況がディボット跡で且つ、少しボールが沈んだ非常に嫌な状況にボールがありました。
9 Ironでしっかりと振り抜き、ピンそば2mにつけることができ、勝利を手に出来ました。
当初は、SB-01の抜け感には勝る事はないだろうと思っていましたが、この時に自分の中でソールの抜け感に関してCB-1007 がSB-01と変わらないという実感へと変わりました。
最初は細かな不安を持っていたことは確かですが、結果が実感出来る度に、CB-1007へ変更して本当によかったと思いました。
自分の得意とするアイアンショットがさらにキレを増してきたと最近も日々感じています。今季の2勝は1day トーナメントだとしても、今までにない結果を残せている事が証明していると思います。
CB-1007に対して
自分は試合を戦う道具としてCB-1007を使っており、アマチュアの方と道具に対する要望は少し違うのかもしれませんが、アマチュアゴルファーにとっても本当にCB-1007はよいモデルだと思います。確かに扱うにはそれなりの技量がいるとは思いますが、操作性、打感、抜け・・・どれをとっても申し分ないモデルです。
そして、さらに上のレベルを目指すアマチュアの方々に是非使って欲しいと思います。そのまま使用するもよし、こだわりやイメージがあれば、オリジナルモデルでCB-1007の持ち味を存分に楽しんでいただけたらと思います。ゴルフへのイメージが変わると思います。
特に僕のようにマッスルバックを使っているローハンデの方やマッスルを使いたいと思っている方に打ってもらいたいですね。
マッスルのような操作感や打感、球の強さを出せながら、ミスがミスにならない安心感、これは本当にお勧めです。
今年こそは、この相棒と一緒にQTファイナルまで行き、しっかりと結果を残して来たいと思います。
プロゴルファー 新木 雄貴
◎新木 雄Profile
生年月日:1979年9月24日
身長:180cm
体重:79kg
出身校:東北福祉大学
2009年 プロテスト合格
2012年 戦績:ジョイックスオープン 優勝/トラディショナルプロアマ 優勝/アオノオープン 2位タイ/南都オープン 6位タイ