三浦技研は1977年2月、現在の社屋からも近い兵庫県神崎郡市川町内に産声を上げました。三浦勝弘34歳、自らが理想とするゴルフクラブ作りへの挑戦の始まりでした。
設立後、国内メーカーの様々なモデルのOEM生産やツアープロ、トップアマのオリジナルアイアンなどを手がけていきます。
しかし、従来の鍛造品を仕入れて研磨、完成させる製造では生産効率化が悪く、理想のヘッドとはほど遠い状況でした。何度も鍛造業者に希望するスペックの鍛造ヘッドを依頼するも受け入れてはもらえませんでした。最終的には自力で鍛造を行うべく特別な鍛造機を製作、導入し、1991年三浦技研独自の仕上げ鍛造が始まります。現在のW.D.D.Accurate Forgedの前身となる精密鍛造ヘッド誕生です。3回打ちの鍛造ヘッドの鉄肌の滑らかさや、鍛造の設定精度の高さなどから、業界内でも注目され、数多くのメーカーのフラッグシップブランドのヘッドをOEM製造するようになります。また各OEMメーカー契約プロのヘッドも担当し、トッププロ達のシビアな要求に対応することで数多くの経験を積んでいきます。三浦技研製アイアンヘッドが海外メジャーの舞台でデビューした時代でもあります。
OEM生産やプロ用ヘッド製作など事業は順調でしたが、三浦自身は決して満足していませんでした。当時は国内外のメーカーからキャビティバック形状のアイアンが数多く出てきた時代でした。自分達が思い描くゴルフというゲームにおける道具をもっと極めたいという思いは更に強くなり、1994年4月三浦勝弘自身が考える理想のアイアンヘッドを追求するため、ヘッドパーツブランド「MG Original Heads」シリーズを発表しました。
アイアンはCB-1001、1002、2001、MB-5001の4シリーズ、ウエッジは3種のヘッドというラインアップでのスタートでした。まだアイアンではヘッドパーツという概念がなかった時代の立ち上げのため苦労も多かったのは事実です。しかし既製品のクラブでは満足できない、自分のスイングに合ったクラブを求めるゴルファーには大いに歓迎され、現在では数多くのミウラユーザーが自分に合った道具でゴルフを楽しんでいます。
1977年(三浦技研創業)と比べるとゴルフを取り巻く環境は劇的に変化しています。
数多くあったゴルフメーカーは集約、淘汰され、ゴルフクラブのヘッドはほとんど中国などで製造されています。ヘッドの設計はCADを含めデジタルで計算、制御する時代です。
三浦技研も様々な新しい試みをしながら、ヘッドを設計・製造していますが、デジタルの時代となってもよりどころとなることは「手」の持つ感覚です。マスターモデルの設計などはヘッドの形を目で見るだけでなく、手で触りながら微妙な面のつながりをどのように設計するか等、手による感覚を大切にしています。
アドレス時 ボールの後ろにヘッドを置いた瞬間、心が落ち着き、イメージする球筋が見えるような感覚をヘッドから感じてもらうためには、「手」による仕事が不可欠なのだと思っています。
2018年、三浦技研は大きな変革を迎えます。
北米を含めた世界規模に範囲を拡げ、日本発信のグローバルブランドとして活動を始めます。大量生産、大量販売のグローバル戦略ではなく、今まで同様、これが理想だと思うヘッドをしっかり作り、世界のゴルファーにMIURAのヘッドを使ってもらう、その思いからアクションを起こしていきます。
三浦勝弘のヘッドに対する想いや発想、そして技、それらを三浦信栄と三浦由貴を中心とした少数精鋭の職人集団が引き継ぎながら新生MIURAが始動します。
MCWで培った膨大なデータを使いながら、新たなるアイアン・フィッティングシステムやスタジオの構築など、クラブとしてよりよくなることへのアクションをさらに充実させていきます。