grind

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重量を整える

研磨の役割は大きく二つあります。番手やヘッドの面のつながりを自然に見えるように形を整えることと、重量を合わせることです。これを無理に一回の工程で行なうのではなく、細かく何工程にも分けて徐々に形を整えていき、精度を出していくのがミウラの研磨です。
鍛造工程で重量の精度を求め、さらに精密な研磨で設定重量へと調整を行います。
一般的にアイアンの重量はクラブ重量で情報として開示されています。シャフトとグリップが付いた状態の総重量はパーツの誤差を見えなくしてしまいます。パーツが工業製品である以上、ある一定の誤差は必ずあります。
ヘッドとして出来上がった時点で重量誤差がどのぐらいあるか、他メーカーのことは私たちにはわからないことですが、誤差が大きい場合ホーゼル穴の中に鉛などの重量物を入れる等、調整されているクラブが実際あります。
ヘッド全体で重量がフローしていることが理想ですが、例えばある番手だけホーゼル穴に重量物が入ってヘッドの一部だけが重い状態になると、スイング時に必ず違和感が出てきます。
ミウラでは重量を完全にコントロールし、設定重量を研磨作業によって厳守することを行っています。
MCWでは各モデルの設定数値から1g単位で調整できる製造体制を組み、さらなる重量精度を追い求めています。

感じさせる、という性能

アイアンヘッドはシャフト線上のホーゼルから扇型のフェースが付いた、決してバランスがよいとは言えない不思議な形をしています。
ゴルフスイングとは、この或る意味いびつなヘッドを身体の正面に構え、斜め上からボールとヘッドを見ながら、常に架空の平行と垂直のラインを感じ、左前方に打ち出すという、とても難しい作業を行います。
そのためどうしてもアドレスの時点でいろいろな視覚的錯覚が起こってしまいます。
ミウラは全番手をスコアラインを基準としてロフト角、ライ角、F.P.値を誤差なく製造していますが、これはヘッドとして基本中の基本となるスペックです。
この基本をしっかりさせたヘッドだからこそ、ゴルファーそれぞれの心理的領域に入ったヘッド造りができます。
ミウラの研磨は、アドレスしたときを基準に微妙な面のつながりを大切にしながら、ターゲットに対してきちんと構えることを最重要に考えた研磨です。
ストレートに狙うときにはきちんとスクエアなアドレスが取りやすいことはもちろん、右から、左からボールを回して狙う、ボールを逃がす、捉まえる、抑えて打つ、風に乗せる等、弾道を操作したいときに、自信を持って構えられるヘッドです。
そしてこれがアイアンやウエッジに求める、ゴルファーに球筋をイメージさせる、という性能です。
イメージした球を打つためのアドレスにすっと入ることができ、躊躇なくバックスイングに移れるクラブ、それこそが本当の道具だと考えます。

フィッティングの妙

軟鉄鍛造アイアンの特長は打感だといわれます。私たちミウラが長年この素材・製法にこだわるのも鍛鉄鍛造によって生み出される、軟らかさの中に芯を感じることができる打感を重視していることはお話ししました。
そしてもう一つ重要な特長が、調整性能が優れているということです。
前述の五感に響くヘッドもこの軟鉄鍛造の調整機能によって生み出されています。
軟鉄鍛造製法は、調角と研磨によって様々なゴルファーのスイングや好みに合わせたヘッドを作り出すことが可能で、2004年に立ち上げた完全フィッティングによるブランド、Miuraismではツアープロに提供するのと同じシステムでアイアンを造るという究極のサービスを展開しました。
この一連のアクションがMCW(ミウラ・クラフトマンワールド)という、既成モデルをフィッティングでさらに使い手に合わせていくサービスにつながっています。
現在MCWでは仕上げ加工前の調角、研磨作業を行い、お好みのメッキ等の仕上げを行うシステムを確立し、多くのゴルファーがフィットした道具でゴルフを楽しまれています。
ゴルフは戦略のゲームです。自然の中に身を委ねながら、コースと対峙し、自らの技量と相談しながら、どのような球筋で攻めるのか・・・そこには信頼のおける道具が必要です。